弁護士として独立開業する——それは「自由」「裁量」「高収入」といった希望を抱く一方で、実際に一歩を踏み出すと「現実は思っていたのと違った」と後悔する弁護士も少なくありません。即独(司法修習後すぐの開業)にせよ、事務所勤務を経た独立にせよ、「独立すれば全てが思い通りになる」という幻想は一度疑ってかかる必要があります。

今回は、開業経験者へのヒアリングに基づき、「開業して後悔したことベスト5」とその具体的対策を紹介します。


【第1位】営業・集客を甘く見ていた

●後悔の実例

「ホームページを作っただけで、案件が来ると思っていました。半年間ほぼ電話が鳴らず、月収はアルバイト以下でした。」
(即独弁護士・30代前半・東京)

多くの弁護士が経験する後悔の筆頭です。特に即独の場合、「人脈がない」「事務所経由の紹介がゼロ」というケースが多く、待っていても仕事は来ません。

●原因

  • 弁護士業界は「紹介文化」が根強く、新規開業者に案件が回りづらい。
  • 営業やマーケティングを体系的に学んだことがない。
  • 認知・信頼の形成には継続的な発信と仕組み化が必要。

●対策

  • SEO対策を施した専門特化型サイトを開業前から準備。
  • Googleマップ・MEO・口コミ施策を同時に進行。
  • ブログ・SNS・セミナーなどで、定期的に「誰に何を提供するか」を発信。

❝開業はマーケターとしてのスタートでもある❞
専門家であるだけでは、選ばれません。まず「知ってもらう仕組み」づくりが最優先です。


【第2位】収入の不安定さで精神が削られた

●後悔の実例

「月によって収入が0~200万とブレが激しく、家賃や生活費の支払いに怯えていました。」
(独立3年目・40代・地方都市)

安定して案件が獲得できるようになるまで、資金繰りのストレスが常に付きまといます。

●原因

  • 案件発生のタイミングは不規則。
  • 成果報酬型業務(離婚・交通事故など)は入金までのタイムラグが長い。
  • 費用倒れリスクが高い「薄利案件」を引き受けがち。

●対策

  • 生活費1年分+設備費半年分の開業準備資金を用意。
  • 当初は単発案件+顧問契約の両輪で収入を安定させる。
  • 収入の「山と谷」に合わせたキャッシュフロー管理表を作成。

❝営業は“売上”を作るが、“経営”は“利益”と“資金繰り”を作る❞
弁護士業でも“経営者の視点”が必要です。


【第3位】経営・事務面の準備不足

●後悔の実例

「請求書の発行すらスムーズにできず、経理処理に追われて深夜まで残業。法律以外のことで心が疲弊しました。」
(即独1年目・女性弁護士)

経理、労務、契約書管理、税務……。個人事業主や法人代表としての事務負担は決して軽くありません。

●原因

  • 弁護士業務しか経験しておらず、事務管理に無頓着。
  • 人を雇うのが早すぎて、マネジメントの壁に直面。
  • 会計・労務の外注先すら決めずに開業。

●対策

  • クラウド会計(freee、マネーフォワードなど)を活用
  • 開業前に税理士・社労士との顧問契約を済ませておく。
  • 最初は人を雇わず、外注やオンライン秘書の活用を検討。

❝業務の属人化を避け、仕組みと外注で“時間を買う”❞
弁護士としての本業に集中するには、経営資源の最適配分が鍵です。


【第4位】料金設定で損をした

●後悔の実例

「“独立直後だから”と安く設定してしまい、相場以下で労多くして利少なし。見直すにも既存顧客との調整が大変でした。」
(独立2年目・40代・神奈川)

料金設定のミスは、ブランド形成・利益確保の両面で後を引きます。

●原因

  • 「最初は安くしてでも案件を取らなければ」と焦る。
  • 他の弁護士がどの程度の価格帯で提供しているかを知らない。
  • 価格と提供価値のバランスが取れていない。

●対策

  • 同業者の価格調査+「価格表」ページの公開で安心感を演出。
  • 同業者のリサーチ含め、外部コンサルなどの情報提供を上手に活用。
  • 案件の性質に応じて、着手金・報酬金・タイムチャージを柔軟に設計
  • 「なぜこの価格なのか」を説明できるように、サービス設計書を作る。

❝価格は“信頼”のシグナル。安売りは信用も利益も削る❞
値付けはブランド戦略そのもの。戦略的に決めましょう。


【第5位】孤独・不安を一人で抱え込んだ

●後悔の実例

「相談相手もなく、上手くいかない原因をすべて自分のせいにして精神的に限界でした。」
(独立4年目・男性・大阪)

“自由”は“孤独”の裏返しでもあります。経営に悩んでも相談できる相手がいなければ、うつ症状に陥る弁護士もいます。

●原因

  • 1人事務所でスタッフもいない。
  • 経営や集客の悩みは同期や先輩にも相談しにくい。
  • 「弁護士たるもの、弱音を吐いてはならない」と思い込んでしまう。

●対策

  • 同期や先輩、異業種の経営者と定期的に情報交換
  • 士業経営者のオンラインサロンや勉強会に参加。
  • 弁護士業界に詳しい、経営コンサル・集客コンサルなどの外部サポート体制を構築。

❝孤独は最大の敵。成功者ほど、意図的に「人」とつながっている❞
独立しても、「一人ではない」状態を意識的に作ることが重要です。


■まとめ|開業の後悔は“準備と視点のズレ”が原因

 

 弁護士の独立開業は、自由であると同時に、自己責任の世界です。
この記事で紹介した「後悔ベスト5」は、多くの開業者が一度は直面する“あるある”であり、逆に言えば事前に準備すればかなりの確率で回避できます

<最後にお伝えしたいこと>

  • 開業は弁護士業ではなく、「経営」そのもの
  • 成功には「専門性×マーケティング×人脈」が不可欠
  • 迷ったときは、必ず相談できる“仲間”を持つこと

後悔しない開業のためには、「自分は絶対に大丈夫」と思わないことが最大の武器になります。

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