
弁護士として独立を考えるとき、最初に直面するのが「どこで開業するか」という問題です。
- 地元(地方都市)に戻って開業するか?
- 都市部に残って勝負するか?
- そもそも場所って、どれだけ重要なのか?
「集客しやすさ」「コスト」「人脈」「ブランディング」など、立地にはさまざまな要素が絡みます。
この記事では、弁護士が独立開業するうえでの立地選びについて、現場視点×戦略視点で考察してみました。
考察❶ <地元開業>の実情と可能性|“紹介資産”と“固定費の軽さ”が強み
地方都市や地元での開業は、独立弁護士にとって“実は狙い目”になるケースがあります。
🔳地元開業のメリット
<視点> | <メリット> |
人脈 | 顔が効く/紹介が得やすい(親族・同級生・地元企業) |
競争 | 弁護士過疎地域なら、一定のニーズがある可能性が高い |
コスト | 都市部に比べて家賃が1/3〜1/5。ランニングコストを抑えられる |
信用 | 「地元に戻ってきた弁護士」というストーリーが信頼につながる場合も |
🔳デメリットと対策
<課題> | <解決策> |
案件ボリュームが限られる | Web集客で隣接エリアまでカバー/複数分野対応でリスク分散 |
高齢者比率が高い(ITリテラシーが低め) | 対面+紙対応を整備しつつ、家族経由での情報提供を活用 |
専門特化しにくい傾向 | 「地域✕専門」のハイブリッド戦略(例:地方の外国人支援) |
考察❷ <都市部開業>の現実|“案件量×スピード勝負”の世界
都市部は依頼者数・案件数ともに豊富ですが、それゆえ競合弁護士の数も多く熾烈です。ブランディング力や発信力が求められます。
🔳都市部開業のメリット
<視点> | <メリット> |
案件数 | 初動から一定数の相談が見込める(検索ボリュームも多い) |
分野の幅 | IT法務、企業法務、スタートアップ支援など多様な領域に挑戦可能 |
他士業との連携 | 税理士、社労士、デザイナーなどパートナーと連携しやすい |
働き方の柔軟性 | オンライン・クラウドベースでの業務環境が整っている |
🔳デメリットと対策
<課題> | <解決策> |
家賃・広告費などの固定費が高い | シェアオフィスやバーチャルオフィスの活用/完全在宅型も検討 |
競合する弁護士の数が多く埋もれやすい | 専門特化×ブランディング(ブログ/SNS/事例紹介)で差別化 |
紹介に頼りにくい | Webマーケティングのスキルが必須(LP、SEO、LINE活用など) |
考察❸“立地=商圏戦略”の時代。オンラインを加味した判断が鍵
近年では「オンラインで完結できる業務」が増えており、場所の制約は大きく変化しています。
- 例えば、離婚・労働・債務整理などは初回からZoom面談でも完結可能
- 契約書レビューや企業顧問も、都道府県を越えて対応できる
つまり、「事務所の場所=集客エリア」ではなくなってきているということです。
立地の選び方は、“対面業務”と“オンライン業務”のバランスで決める時代となっていると言えます。
考察❹2つのタイプ別「立地選び成功事例」
🔳ケース①:30代前半・地元開業で売上安定(相続・交通事故メイン)
- 地元(地方中核都市)で開業
- 親族・高校時代の友人から初期顧客が生まれる
- 年間広告費は20万円程度。紹介+自作HPで月間20件の問い合わせ
- 強み:誠実な対応・地域密着で高齢者層に信頼
→ 地元ゆえの“顔が見える距離感”を活かし、じわじわと信用を積み上げた好例
🔳ケース②:都内開業、30代弁護士がスタートアップ支援で成長中
- 新宿のシェアオフィスで開業(初期コスト月5万以下)
- Twitter・note・登壇イベントで「IT法務に強い若手弁護士」として発信
- 3ヶ月目から月商100万超え。顧問契約も獲得
- 強み:都市のニーズ×専門性×情報発信力
→ 「都市部✕特化戦略✕SNS活用」がハマった事例
考察❹最終判断のための3ステップ思考法
場所選びに迷ったら、次のステップで整理してみましょう。
🔳ステップ1:依頼者像を具体化する
- 自分がサポートしたい依頼者のイメージは?(高齢者/企業/若年層/外国人 etc.)
- その人たちはどこにいて、どのように相談するか?
🔳ステップ2:開業コスト・継続コストをシミュレーション
- 開業費用(オフィス内装、登記申請、HP制作)と月々のランニングコストを比較
- 初年度の予想売上とキャッシュフローを試算
🔳ステップ3:情報発信力 or 紹介力、どちらで勝負するか
- 都市部は「自力で発信して集める」PR集客力が必須
- 地元は「つながり(人脈)から紹介される」ことがカギ
まとめ|立地選びは「ビジョン×戦略」で決まる
開業場所の選択は、単なる「地理的な問題」ではありません。
それは独立する弁護士が「どんな弁護士として、誰のために生きるか」を考える選択でもあります。
- 地元=人の縁と信用を活かす
- 都市部=専門性と発信力で勝負する
- オンライン=場所に縛られない働き方を設計する
あなたが“届けたい相手”に、ちゃんと届く場所で。
その一歩が、理想の独立開業につながります。
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