弁護士としての実力に自信がつき、より自分らしいリーガルサービスを提供したい。そんな思いで独立を選ぶ先生方も多いはずです。しかし、開業後に待ち受けているのは、「法律実務」だけでは通用しない現実の壁です。どんなに優れた法的知見があっても、それだけでは事務所経営は成り立たないという事実に、開業後まもなく直面することになります。 今回は、クライアント先の先生方からお聞きした悩みや失敗談を、経営の観点から冷静に分析しまとめました。独立開業を目指す先生方の教訓として、お役にたてば嬉しく思います。

失敗①:見込みの甘い「顧客獲得計画」

 開業前は、「前の事務所での依頼者がついてきてくれるだろう」「紹介で案件は自然と入ってくるだろう」と、根拠の薄い期待を持っている方は多いはずです。しかし、独立直後になると“元の看板がなくなる”ことで信頼が揺らぐケースも多く、ほとんどの依頼者はついてきません。開業3ヶ月目あたりから焦りを感じ、そこから本格的に「マーケティング」と向き合い始める方はとても多いです。

<乗り越え方> 「マーティング施策を、実践してみる」

  • ホームページを立ち上げ、ブログを定期的に更新
  • Googleビジネスプロフィールを整備
  • 自分の専門分野を明確にして、強みを打ち出す
  • 既存の知人・弁護士仲間に定期的に近況報告

これらの地道な取り組みを続けると、約半年後には効果としてコンスタントに新規相談が入るようになるはずです。できるだけ早く取り組むことをおススメします。

失敗②:「経営者」の視点が抜けていた

 弁護士としてのスキルに自信があっても、それと「経営」は別問題です。開業当初は、売上が入ってきたら「とりあえず家賃と税金を払えばOK」と思っていてもその結果、経費の予測が甘くなり、キャッシュフローが不安定になることも。「税理士さんに言われるまで気づかなかった」というような声もよく聞きます。

<乗り越え方> 「最低限の経営指標を数値化して管理する」

たとえば、以下のようなKPI(重要業績評価指標)を定期的にモニタリングすることで、事務所の状態を客観的に把握できます。

   <KPI>  <管理の目的>
  平均受任単価単価戦略の妥当性を確認
  月間受任件数営業施策・問い合わせの成果指標
  広告費用対効果マーケティング戦略の費用対効果の分析
  案件獲得経路の割合最も効果的なチャネルを把握

失敗③:全部ひとりで抱えようとした

 最初は「経費を抑えなきゃ」「人に頼むより自分でやったほうが速い」と思い、事務作業からWeb更新、雑務まですべて一人でやってみる方も多いです。しかし、そこにかける時間が意外と多くなり、次第に時間が不足し、本業である“法的サービスの質”が落ちるリスクを感じるケースがとても多いです。一人事務所では、すべてを自分でこなすことが当たり前です。また、業務フローやマニュアルを作らないまま走り続けると、「自分が動けなくなった瞬間に事務所が止まる」というリスクに直面します。

<乗り越え方> 「仕組み化」と「外部活用」の発想を持つ

  • 業務フローを文書化し、再現性のある形に落とし込む
  • 可能な業務は専門外注する(秘書、経理、Web、広告、IT支援など)
  • 自分の「時間単価」と「その業務のコスパ」を意識する

 「自分がやるべきこと」と「他人に任せた方がいいこと」を明確にし、“ひとりでやる開業”から“チームで支える運営”へと考えを変えることで、精神的な余裕も生まれるはずです。

失敗④:価格設定の根拠が曖昧だった

 開業初期、多くの弁護士が「価格競争」に巻き込まれがちです。「依頼が来ないのではないか」という恐怖心から、相場の最低価格に設定するケースはとても多いです。しかし、単価×実務時間で売り上げが決まってしまうことを考慮にいれないと、忙しいのに売上が伸びないという負のスパイラルにはまってしまうことも。

<乗り越え方>「価値」と「収益性」から逆算した価格設定を

  • 単に時間ではなく、「提供する成果」に対する報酬として価格設計
  • 案件の平均稼働時間・コストから収益性を分析し、必要報酬を算出
  • 「安さ」でなく「価値」で勝負するブランディングの確立

 価格は「顧客の質」とも密接に関わります。価格を上げる=自信を持って提案するための「戦略」と捉えるべきだと考えましょう。

まとめ|「弁護士」と「経営者」のバランスを磨け

 弁護士の独立開業は、専門職としてのスキルだけでなく、経営感覚・意思決定力・マーケティング知識など、多面的な力が求められる挑戦です。経営者としての視点”も持ちながら、ぜひ自分のスタイルを模索し、「あなたらしい法律事務所」を築いていってください。

失敗を少なくできる<意識するべき3つのこと> 

  • 柔軟に軌道修正できること
  • 一人で抱えず、人に相談できること
  • 自分の強みと課題を冷静に見つめられること

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